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老中さえも恐れた「大奥」の政治力

「将軍」と「大奥」の生活①

幕府の人事や政務利権獲得を目指す商人に大奥が口添え

 

 将軍の意思を左右できたことで、御年寄を頂点とする大奥は隠然(いんぜん)とした政治力を持つようになった。将軍に人事権を握られている家臣たちからすると、人事に干渉してくる伏魔殿(ふくまでん)のような存在に映っていたかもしれない。

 

 大奥が干渉したのは人事や政務だけではない。利権の獲得を目指す商人も口添えを期待した。幕府に出入りする御用商人となることで利益を得ようと目論む商人が、大奥に口添えを期待したのである。その結果、大名から商人まで、その口添えに期待して金品を贈ってくるようになるが、これが大奥での絢爛豪華(けんらんごうか)な生活の最大の原資となる。

 

 しかし、幕末に入って幕府つまり将軍の権威が低下していくと、大奥の威光も低下していく。最後の将軍慶喜(よしのぶ)の大政奉還(たいせいほうかん)により幕府が消滅すると、大奥は歴史の闇に消えていくのである。

 

監修・文/安藤優一郎

『歴史人』202110月号「徳川将軍15代と大奥」より)

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